注2. 新石器時代に建設された巨石文化遺跡

現在のトルコで、古代文明の一つ、メソポタミア文明圏の北端にあるアナトリア地域では、1万年以上前の新石器時代の遺跡として、巨大な石を組み合わせて造られた巨石文化遺跡が、アメリカのシカゴ大学のピーター・ベネディクトらによって発掘されました。この遺跡は、現在では、本格的な遺跡発掘を行った、ドイツの考古学チームのリーダー、クラウス・シュミットにより、狩猟採集時代に人々が集まり、獲物の収穫を喜び、さらなる豊漁を願った祭壇の後だと考えられています。

これまでの考古学の定説では、文明の発祥は、石器時代以後と考えられてきましたが、この発見は、人類の文明が、それ以前の、今から1万年前ごろから既に始まっていたことを示しています。それは、これだけの大規模な遺跡を建設するためには、多数の人間が協力し合わなければならないはずです。それは、その建設に関わった人々が、一定期間、この地域に定住していたことを意味しています。

数十トンになる岩を切り出し、T字型の巨大なオブジェに加工し、遺跡にまで運んで、正確な位置に設置するためには、それを指揮する人間が必要になります。それは、当時の人間社会が、一定以上の人間から構成される集団にまで成長していて、その集団を指揮する王や司祭のような役割の人間がいたことを意味しています。つまり、今日の私たちが言う、「文明」が始まっていたことを意味しています。


参考になる資料

NHK BS フロンティア (2024年12月12日放送)、「最古の巨石遺跡が語る文明の起源」


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